ハイカラに生きろ。 舘鼻則孝「時代と時代を繋ぐ者」後編

舘鼻則孝 / NORITAKA TATEHANA

CLIP | CULTURE

2017.9.22

ハイカラに生きろ。
舘鼻則孝「時代と時代を繋ぐ者」後編
舘鼻則孝のハイカラな生き方に迫る
 
“花魁”をテーマとして日本の昔と今を繋ぐ現代アーティストに、その生き様や考えを伺った。

ゼロから創り出す
 
舘鼻則孝の作家としての原点—。それは、人形作家だった母親の教えにあった。
 
「僕の母親は、シュタイナー教育のウォルドルフ人形を作っています。子どもが自分の感情をパートナーである人形に映し出せるようにデザインされた、いわゆる知育玩具です。母のアトリエが小さい頃の遊び場だったので、素材や道具に触れたりすることはとても身近な環境でした」。
 
舘鼻の母は、おもちゃを欲しがる彼に「好きなものや欲しいものがあるんだったら、自分で作ればいいじゃない」と言った。
「おもちゃは買ってもらえないけど、素材は買ってもらえたんです。道具は母が貸してくれたので、それで全部作っていました。友達が持っていて流行っているものも自分で作らなくちゃいけないことは当時、結構恥ずかしかったんですけど。でもやっぱり、創作活動の原点に母の教えはある気がしますね。それは今とやってることは全く変わりませんから」。
 
『Heel-less Shoes Series』(2012年)
 
『Heel-less Shoes Series』(2014年) 


作家として生きる

「創作活動は苦しいですね」。意外にも舘鼻は、そう口にした。
 
舘鼻のなかには到達すべきラインや、明確に感じている使命がある。それは、日本の伝統を現代的に表現することであり、日本文化を世界に発信することであり、時代と時代を繋ぐことでもある。
 
プロの作家として何をどう表現し、誰にその思いを伝えていくのか。その目的意識をはっきりと持ちながら、日々創作活動に取り組んでいるのだ。
 
 
「創作活動を通して、日本の文化や歴史のページを1ページずつ繋げていくことが、僕の作家としての仕事だと思うんです。そうやって歴史の変遷を形に残す、作品化するということは、その作品が社会性を持って独り立ちして、色んな情報をシェアしてくれるようなコミュニケーションツールにもなる気がするんですよね」。


舘鼻が所有する、浮世絵や花魁写真のコレクション。
 
自身のアイデンティティと深く向き合い、時代を紡ぎ続ける 作家 舘鼻則孝。
真摯に創作と向き合うそのハイカラな生き方は、圧倒的に美しく感情を揺さぶる作品や演出へと姿を変え、世界中の人々を魅了し続けていた−—。


プロフィール
舘鼻則孝(たてはな のりたか)
1985年、東京生まれ。歌舞伎町で銭湯「歌舞伎湯」を営む家系に生まれ鎌倉で育つ。シュタイナー教育に基づく人形作家である母の影響で幼少期から手でものをつくることを覚える。東京藝術大学では絵画や彫刻を学び、後年は染織を専攻する。遊女に関する文化研究とともに日本の古典的な染色技法である友禅染を用いた着物や下駄の制作をする。現在はアーティストとして、国内外の展覧会へ参加する他、伝統工芸士との創作活動にも精力的に取り組んでいる。作品は、ニューヨークのメトロポリタン美術館やロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館など、世界の著名な美術館に永久収蔵されている。

 
Photo & Movie:Robin Furuya
Direction:Daichi Nakagawa
 
 
 

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editor's Information

林 理永

フリーランスの編集者、ライター。ファッション誌の編集アシスタントを経て独立。現在は、女性誌や書籍、WEBを中心に活動し、「編集」という枠でイベントプロデュースにも携わっている。

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